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Face To Face NO.30 「一期一会がおもしろい」 


 37回生樋口博保(ひぐちひろやす)
 友が丘中学卒
 吹奏楽部

 

 神戸大学農学部
 神戸大学農学部大学院
(株)カネカ




 

―名前―
 「あらっ」とその受付にいた女性は小さな声をだした。あるパーティでの話だ。「何かありましたか?」「私と同じ名前だったものですから」。彼女の名前は樋口啓子(ひろこ)。樋口博保とは読めばほとんど一緒だ。その女性が妻となった。「結婚しても姓が変わらないものだから、同窓会では、未だ家内は独身だと勘違いしている人もいるそうです(笑)」

―最長記録ー
研究者としてカネカに就職した樋口さんは、最初の2年間、難病の自己免疫疾患(膠原病)の一種、全身性エリテマトーデスの治療機器を研究していた。血液の中にできてしまった自分の体を攻撃する抗体を取り除く、血液浄化装置の開発だ。
 

「バブルの末期にクリアな考えもなく『理系だから』と就いた職でした。『これが本当に俺のやりたかったことなのか?』と悩み、社内の自己申告制度を利用して、社内ベンチャー部門へ転属したのが25歳の時。そこで出会った上司に、徹底的に鍛えられて今の自分があります」
 

  大学では合気道部の主将だったというその上司は、ハーバードのビジネススクールも卒業しており、とにかく頭が切れる&怖い!「すぐやれ!」が口癖で、「すぐ電話しろ!」と指を電話機の番号ボタンに押しつけられることも再三。三ヶ月ももたずに音を上げて転属する部下が続出していた中で、樋口さんは5年間がんばった。「だれにも破られていない最長記録です(笑)」
 

ある原料が3000トン必要だった。だが、国内では最高に用意できるメーカでも10トンだと言う。「あほか!犬のお使いか!」とどやされて、相手企業の重役たちを前に交渉。なんとか20トンの約束は得たものの、「ないものはない」。重役達は気の毒そうな顔をしながら交渉部屋から一人、二人と去り、部屋に取り残された樋口さん。持ち帰った結果を「あほか!」とまたどやした上司は、樋口さんを連れて中国に飛び手配に成功した。
 

 30歳の時、社内ベンチャー部門がクローズされる。樋口さんは医療器事業部に異動しカテーテルの開発に従事した。一口にカテーテルというが、その種類は100種以上。樋口さんの関わるカテーテルは、心筋梗塞の原因である心臓の血管に詰まった血栓を吸い出す製品だ。
 

―妻の全身性エリテマトーデス―
 ある日のことだ。妻の顔に紅斑が出た。近所の医者へ行ったが原因は分からないと言う。だが、樋口さんにはピンとくるものがあった。若いころに研究していた全身性エリトマトーデスだ。すぐに大学病院の「膠原病内科」を受診させた。
「膠原病は専門医でないと診断がむずかしいのです。仕事上の経験から、早期に専門医に連れていけたのがラッキーでした」。
 

 樋口さんは、会社の営業の人を連れて妻の主治医のもとへ。若かりし頃、開発に関わった血液浄化装置の紹介をした。「まだ、この装置を使った治療をしている病院は少なかったのです」。なんとか説得に成功して血液浄化も併用して治療がスタートした。
 

 全身性エリテマトーデスの治癒率はわずか5パーセント。極めて低い。だいたいは一生付き合うことになる。症状の出方は千差万別で、治療のタイミング、薬の組み合わせも難しい。「自分が携わった血液浄化装置含めて、治療のタイミングが、たまたまうまくいったのかもしれません。おかげで妻は完治することができました」
 

―縁―
 カテーテルは日本の学界でヒット。展示会に来た海外の医師からも引き合いがくるようになった。40歳まではアジア、ヨーロッパでの販路を開拓、その後、世界最大の市場アメリカに進出するために樋口さんも2008年から5年間、NYに家族帯同で赴任。昨年帰国した。
 

 大学進学を控え、文系が理系かと悩んでいた長男は、バイオ研究の道を選んだ。今はゲノム解析を勉強中だ。幼いころ、闘病する母を見ていたことが動機となった。「難病対策に役立ちたい」。 現在中学三年生の長女は、東京都が都立高校生を対象に開設する「次世代リーダー育成道場」に応募し、メンバー200人の一人に選ばれた。事前研修が一年。留学が一年。2年間のプログラムだ。樋口さんのNY赴任が、きっかけの一つだろう。
 

一つ一つの出来ごとを振り返ると、「一期一会」のおもしろさに気づかされる。
 

「僕は一見温和ですが『かなり厳しい』と部下に言われます。昔受けたスパルタを部下にも押しつけているのかもしれません。いかんな、と反省はしているのですが」
 

帰宅して、愛犬が出迎えてくれる瞬間にとても癒されると言う樋口さん。インタビューの3日後には、また欧州に出張だそうだ。
(取材・文・写真 田中直美 2014年11月)

 NY駐在中の樋口さん一家
 

編集後記:次回「Face to Face」は、番外編。長田の体育教官 吉地 恵先生に取材予定です。なんと、樋口さんの高校二年生時の担任の先生が吉地先生。「とにかく柔道の授業は辛くて辛くて辛くて・・。早く終わってほしい一時間でした。腕立て、腹筋、ダッシュと、とにかく徹底的に鍛えられた。あまりに辛くて、当時の柔道場のにおいまで覚えているほどです」。その、だれもが恐れた吉地先生は、今、どうお過ごしなのか?請う、ご期待!!です。

「Face to Face」今までの記事一覧へ
 http://nagata-tokyo.jugem.jp/?eid=54
 

| comments(6)|
樋口 (2015/07/15 8:14 PM)
大石さん
コメント頂きありがとうございます。大変ご無沙汰していますがお元気ですか?こちらこの5月にNYに2回目の転勤となりましたが元気にやっております。年に数回は東京に戻りますのでまたお会いしましょう! よろしくお願いします。
樋口

大石稔 (2015/07/12 10:10 AM)
樋口さん
高校、大学と一緒だった大石です。少なくとも大学卒業以来はお会いしていなので長い間ご無沙汰しています。偶然樋口さんの記事を見つけて大変懐かしく思い、コメントさせて頂いています。写真拝見しましたが学生時代とあまり変わっていませんね。お元気そうでなによりです。私も東京にいるのでそのうちお会いできればいいですね。
樋口博保 (2014/11/11 9:44 PM)
Tonyさま、長谷川さま、
コメントありがとうございます。田中さんに上手く纏めて頂いてとても感謝しています。。こうやって記事を通じて先輩や後輩と出会えるのも一期一会ですから、これからどうぞよろしくお願いいたします!
田中直美 (2014/11/09 10:43 PM)
長谷川さま

コメントありがとうございました。私は人のお話を聴くのが大好きで、どの人もが持つ、素敵なポリシー、不思議な偶然、払った努力などに感動します。

記事を書くおかげで、いろんな先輩や後輩に直接お会いしてお話できるラッキーにいつも感謝しています。

これからもよろしくお願いいたします!
T.長谷川(高7) (2014/11/09 9:36 PM)
いつも楽しく拝見していますが初めてのコメントです。

素晴らしい後輩たちが各分野で活躍している姿を
いつも頼もしく拝見しています。

仕事を持ちながら編集のご苦労は大変なものと拝察していますがどうか頑張ってください。

ありがとうございます。
tony@36 (2014/11/09 9:30 PM)
「一期一会」「運命の出会い」一言で片づけてしまえば簡単だけど、一瞬一瞬にどれだけ真剣に向き合い、何を感じとるか。その積み重ねが大きな財産となるのですね。頭が下がります。









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