長田高校/神撫会東京の広場

兵庫県立第三神戸中学・長田高校OB・OG会
神撫会東京支部について
「Face To Face」:OB紹介(バックナンバー一覧)
神撫会東京支部へのご登録
神撫会東京支部 Topへもどる
リンク
創立100周年記念 東京支部企画
兵庫県が「出会い」をサポート
SEARCH
<< フェイスブックにページができました | main | 2014年度総会・懇親会報告 >>
No.26 カスタネットのように
坂上明子(さかじょうあきこ)
高36回生
福田中学卒
音楽部

千葉大学看護学部卒
千葉大学大学院看護学研究科博士後期課程修了

千葉大学大学院看護学研究科 准教授

 

―私がやるしかない!ー

 「人がこの世に生まれてくる幸せな時間をサポートしたい」「健康な人がより健康に暮らせるようサポートしたい」大学時代にそうひらめいたのが、助産師の資格をめざした最初のきっかけだった。だが、臨床で配属された周産期センターで接したのは、妊娠による合併症に苦しむ妊婦さん、NICU(新生児集中治療室)で治療を受ける赤ちゃん、不妊治療に悩む女性たちだった。
 
 「臨床で、二人目のお子さんを妊娠するために、子連れで不妊治療に通っていた女性の悩みを伺ったことが、私の現在の研究テーマにつながりました」
 

 不妊治療に通う多くの女性は、「一人目の赤ちゃん」を切望しての場合が多い。だが、「二人目の赤ちゃん」を望んでの不妊治療には、当事者にしか分からない辛い側面があった。
 
 やっと一人目を授かったのに「一人っ子はかわいそう。ひとりっこは我がまま」という周囲の偏見の声で、二人目のための不妊治療に駆り立てられる人も多い。子どもを預ける場所がなく、やむなく子どもを連れて治療に来ても、長い治療の待ち時間に子どもが飽きて騒ぐと、不妊治療の待合室では回りの女性からの視線が痛い。けれども、治療経験があるがゆえにその視線の奥にある辛さもわかる。
 

 「子どもがいるのに、なんで高い治療費をかけて治療するの?贅沢な悩みね」という心無い言葉をかけられることもある。一人目を妊娠できたのに、なぜ妊娠できないのかという焦り、遊びたいさかりの子どもを毎日のように病院通いに連れてくることへの罪悪感、治療と子育ての両方のストレス。そんな一人目の治療とは異なる多くの悩みを抱えていた。
 

 「私が病院に勤務していた当時は、日本で初めての体外受精が成功してまだ10年もたっておらず、不妊治療後の育児支援や、二人目の子どもを妊娠するための不妊治療中のケアは日本でも海外でもほとんど進んでいませんでした。『自分がやるしかない!』と一念発起。大学院への進学を決めたのです」
 

―若い人たちに知っておいてほしいことー
 

 昨年、NHKの特別番組で「卵子の老化」が取り上げられ、若い女性たちの間に衝撃が走った。
 

 「『学生時代の勉強も、就職も、仕事も、努力で良い成果をあげてこられた。なのに、いざ子どもが欲しいと思った時、卵子の老化で妊娠がむずかしいと知った。そんなこと、今までだれも教えてくれなかった。もっと、早く知りたかった』と話してくれた40代の不妊患者さんがいらっしゃいました。妊娠・出産はとてもプライベートな問題です。産む・産まないという選択の権利は個々人にあります。誰かから強制されたりするのではなく、自由に選ぶことが重要。でも年齢が高くなると妊娠しにくくなるという知識がないために、その選択の幅をせばめてしまうことがないようにしないといけないと思います」
 

 千葉県では内閣府からの支援を受けて、大学生がライフプランを考える契機にできるように、今年から妊娠・出産の正しい知識を伝えるセミナーが各地で開催されることになった。「卵子の老化だけでなく、男性の年齢も生殖に関連していることが分かってきました。男女問わず誰もが妊娠・出産を踏まえたライフプランを立てるための知識を得ることが大切です」
 

 現在では産まれてくる赤ちゃんの30人に一人が、体外受精などの高度な不妊治療を受けて生まれてくる。しかもこれは2011年の統計で、その割合は更に上昇傾向にある。
 

「40代で妊娠・出産をする芸能人の報道を見て、40代でも普通に妊娠・出産できると思いこんでいる若い人が多いのですが、その陰にはその何倍も不妊に悩んでいるご夫婦がいたり、高齢妊娠であるために出産時に異常が起きたりしていることを知る必要があります」
 

 「産めよ増やせよ」の戦前のイメージ、また、セクハラなど、微妙なニュアンスもあるために、一般の人が、女性の妊娠・出産問題に関する発言をするのはハードルが高い。だからこそ、坂上さんのような専門家からの適切な知識の伝授は必要だと、記者も痛感した。
 

 「必要な場合は安心して不妊治療を受け、安全・快適に出産し、楽しい育児につながるように、少しでも自分自身の研究や教育活動が役立つように努力していきたいと考えています」と坂上さん。

ー時には休符もいれてー
 

 ご自身は三姉妹の長女。「結婚して子どもがいるのは真ん中の妹だけです」。5年ほど前から末の妹に誘われて始めた「山ガール」。大好きな山を歩きながら緑の風を感じ、ひたすらがしがし歩いて、山頂から遥か彼方を見渡す時、「明日からまたがんばろう」と思う。
 

「カスタネットって打ち続けることはないですよね?タン・タン・ウン・ウンとお休みがありますよね?そんな風に、お休みを入れながら、でも、コツコツと努力を続けることが大切だと思います。必要な時は堂々と休もう!と自分に言い聞かせています。人生は気力と継続。そうやって小さな努力をし続ければ、きっといつか花が咲くと思います」
 

 長田高校63回生の文本さんは、今、千葉大学の看護学部で学んでいる。「先生の講義はとても分かりやすくて、学生からの信頼も厚いです。先生の研究や思いについてぜひ知りたい!」
熱烈なラブコールを受けての、今回の取材でした。(2014年7月)

 三年前から、産科救急のチーム医療のシュミレーション教育のグループを結成。オリジナルメンバーのイニシャルから「OSUKKYs」と命名。定期的に、各地で講習会を開いている

 左から2番目が坂上さん。


 コンピューター制御された分娩介助モデルを用いて、日本産科麻酔学会で、産後の大出血について講習する坂上さん。えんじ色のスクラブ一番左)


「Face to Face」今までの記事一覧へ
 http://nagata-tokyo.jugem.jp/?eid=54

| comments(2)|
坂上@36 (2014/07/03 12:09 PM)
先日はお世話になりました!研究の成果が治療現場でのケアにつなげられるように頑張ります。コメントありがとうございました。
谷岡@36 (2014/07/03 8:21 AM)
実は我が家も治療のおかげで2人の子供たちに恵まれました。きっと坂上さんの研究成果とどこかで繋がってると思います。感謝感謝ですm(__)m









url: トラックバック機能は終了しました。