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Face To Face No.16「誰かに喜んでもらえる形を具現化する」
 
43回生 田中英一郎
横尾中学卒
43代生徒会長
美術部

東工大院博士修了

芝浦工業大学
准教授


 
―デンマーク王子との約束―
 今年9月、東京ビッグサイトで開催された「国際福祉機器展」に出展された、田中さんの医療福祉用リハビリロボット「足首アシスト歩行装置」を見学に行った。
 まず驚いたのはそのコンパクトさ。テレビショッピング風に言うなら「驚きの小ささ!」と言うところか?

 「人間が装着するロボットというと、いかつくて大きい装置を想像する人が多いと思いますが、患者さんがリハビリ用に装着するものとしては、まず軽量でコンパクトであることが必要です」と田中さん。

 2年前、田中さんは、大使館で主催されたデンマーク王子の晩さん会に招待された。田中さん以外の招待客は全員が医療関係者。エンジニアはただ一人だった。その席で、開発中の装置を、いつかデンマークに持っていくと王子と約束をした。「あの時の約束をやっと果たせるめどがつき、大使館の方にも見にいらして頂いたところです」と嬉しそうな笑顔。
 脳卒中後の歩行リハビリに特化したこのロボットは、人が歩く時の足首関節の動きに注目したことが画期的だと言える。第一に、他の大きな筋肉を制御するロボットに比べて、格段に小さくて軽いということ。第二に、足首が動くようになることによって、膝関節や股関節が連動して足を上げるため、つまずきからくる骨折を予防でき、患者さんの日常生活の質も格段に上がるということ。第三には、ロボットで足首関節を正しく動かし、その感覚を体験することで、脳内出血によって破壊されてしまった神経回路の迂回路を形成できるということ。第四には、療法士にとっても指導が難しかった足首運動のリハビリを簡単に何度も行えるということだ。

 技術者としてのアイデアを出した田中さん、医学専門家として、脳や筋肉の仕組みからアプローチした広島大学医学部の弓削類教授、そして世界的なロボットメーカーの安川電機の技術。この研究は10年前に田中さんが開始し、6年前から弓削教授と共研し、2年前から安川電機が参入した。
 この三者が、「協力し合い」ときに「喧嘩し」熱いセッションを繰り返すなか、2年という短期間で形にすることに成功した。「『産学連携』はよくあることですが、これほど短期間できちんと成果を上げることができたのは、先生たちがとにかく熱かったからです」と安川電機の下池さんも言う。
東京ビックサイト
安川電機のブースにて







 

―母の死を乗り越えて―
 4年前のある日、田中さんは自宅近くの駅前ロータリーで、お母さんを出迎えるべく車で待っていた。田中さんには、同じ長田高校に通っていた双子の姉がいる。偶然にも同じ年に二人が家を購入。二人の子どものそれぞれの新居を訪ねるため、お母さんが神戸から上京してくることになっていた。ところが約束の時間になっても現れない。「母は拙宅の最寄駅まできたところで、足を滑らせて階段から転落。病院に搬送されていたのです」。病院からの電話で急行したが、お母さんはそのまま帰らぬ人となった。 

 「そのショックはあまりにも大きく、なんとか少し立ち直ったのは三回忌を過ぎてからでしょうか。母の死に直面して、恥ずかしながら気付いたことがあります。それは、息子として『母にほめられたい』という気持ちも、研究に打ち込むモチベーションの一つとしてあったということです。 

苦しみを経て、僕の中で大きく変わったことがあります。それまでは、『研究』としての成果をあげれば良いと思っていた。でも今は、単なる『研究』ではなく、実際に誰かに使ってもらい、誰かの役に立ち、誰かに喜んでもらえる製品の『形』にまで、なんとしてでも仕上げたい。強くそう願うようになったのです」

―いつか伊藤アナに―
 田中さんは、長田時代に生徒会長を務めた。その時、生徒会長選挙で応援演説をしてくれたのが、現フジテレビアナウンサーの伊藤利尋アナウンサーだ。
 「テレビで活躍する彼の姿を見るたびに、俺ももっとがんばらねば!と思うのです。いつかは、彼が僕のところに取材にくるほどの成果をだしたい。きっと、他の同期生たちもそう考えてがんばっていると思いますよ」と笑った。
選挙運動中の田中さん
 
安川電機「足首アシスト歩行装置」のHP
田中さんの研究室のHP

((取材・文・写真 田中直美 2013年9月24日)

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