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「Face To Face」NO.94「始まりはボランティア」

 49回生 小西さやか

 平野中学

 陸上部

 広島大学工学部

 広島大学大学院

 ノエビア 

 一般社団法人日本化粧品検定協会

 

 

 人に尽くすことが大好き。いつも「窓際のトットちゃん」のように空想を巡らせている少女だった小西さんは、いくつかの転機を経て、化粧品の専門家になった。全卒業生女子の関心を集める?その道筋をお聞きしてきました。

 

―あだ名ー

 3月30日生まれの小西さんは、学年で他の生徒と一回り違うこともあり、小学校低学年での成績はよくなかった。「いつもボーっと何かを空想して、先生の話は全く聞いていませんでした」。ついたあだ名が「ぼー」。

 

母は薬剤師、父は高校の数学教師。これはいかんと父がつきっきりでドリル学習を始めたのが小学校四年生の時。一年生の足し算引き算からやり直した。小学校5年で塾に通い始めた時は、成績順にクラスと席が決まるその塾で、一番下のクラスの後ろから2番目の席だった。が、算数の面白さに目覚め、6年生の卒業時にはトップ。そのまま中学・長田へと進学した。

 

―浄水ー

 水に興味が出たのは小学校3年生か4年生の時に国語の教科書に掲載されていた「足尾銅山鉱毒事件」を読んだことがきっかけだった。空想の世界で、水が原因で起こる病気から世界中の子どもたちを守っていた。

 

 空想を実現すべく、大学は、水処理・水環境の研究が一番進んでいた広島大学工学部化学科に進む。大学4年生で青年海外協力隊の水処理部門に応募するが、残念ながら最終の身体検査で落ちてしまった。

 

 大学院に進み、教授の推薦を受けて、東京の青山にある国連大学の補助研究員になった。月のうち、一週間は広島の大学院で、三週間は東京の国連大学で研究する生活。東京に行っていても大学院での研究も仕上げなくてはいけない。広島に戻った時は、一週間、ほとんど寝ないで研究室にこもっていた。

 「寝不足と不規則な食生活から額にできるにきびがひどく、今も少し跡が残っているほどです」

 

 国連大学では、広島大学の博士課程に進み博士号を取得した後に就職することが決まっていたが、1〜2年契約で毎年自分のポストを探し続けないといけない世界。しかも周りの人材が優秀で、この中でがんばってポスト争いをするのは自分には向かないと感じ始める。大学院2年生の卒業を目前に、博士課程に進まず就職することを決意。地元神戸の化粧品会社ノエビアの研究開発職に就いた。学生時代にあれほど悩んだにきびが、入社して一週間ほどででなくなった。この時の経験が、のちほどの化粧品検定協会の立ち上げにつながる。

 

―ボランティアー

 話は少し戻るが、幼少期からボランティアに目覚め、ガールズスカウトに所属。高校一年生のときに、阪神淡路大震災が起こり、当時、クラスの委員だった小西さんは、クラスメイトにボランティア活動を提案し、休校になっていた三ヶ月間、ボランティアに勤めた。

 

 小西さんは、国連で働く夢を諦めた後も、ノエビアで働きながら長期の休みごとにボランティア活動を続けるようになった。ベトナムに中古のランドセルを送るボランティア。フィリピンで大学に通えない子どもたちがスポーツ推薦で大学に入れるよう野球を教えて支援する活動、インドのマザーテレサの家でのボランティア活動などなど。

 

 マザーテレサの家で、あるシスターの言葉が心に刺さった。「ここには、世界中からボランティアの方がいらしてくださいます。とても感謝しています。でも、あなた方のもっと身近なところにも支援を必要としている人がいることにも目を向けてください」

 

 世界を舞台に、誰かの役に立つ自分を長らくイメージしていたが、すっと目からうろこが落ちるような気がした。

 

―日本化粧品検定協会ー

 30歳で結婚。ノエビアを退職して、通販の化粧品会社に2年半務めた。

 

 この頃、ふと思い出したのが、若い頃、あれほど悩んでいたニキビが、就職して間もなく急激によくなったことだった。そもそも若い人の額にできるニキビは過剰な皮脂が原因。だが、化粧品の基本的知識のないままに、当時流行っていたオイルを、それもなけなしのお金をはたいて買った高級なオイルが、実は逆効果だったことを今さらながらに思い出したのだ。

 

 長く化粧品会社で働き気付いたのは、実は一般の人たちが正しい知識を持っていないために、間違った化粧品の使い方をして反対にトラブルになっているということ。

 

 化粧品の基礎的な知識を4択で選ぶクイズ形式の簡単なアプリを作って、楽しみながら知識を得たら役に立つのでは?問題は自分で考えたものを大学教授の先生に監修してもらい完成させ、さらに、知人にアプリを作ってもらった。それを、当時流行り始めたばかりだったフェイスブックに載せたところ、爆発的に広がったのが、今の「一般社団法人日本化粧品検定協会」の母体となった。

 

 もっと学びたいという意見が多く寄せられた。また、各化粧品メーカーでは、独自に作ったテキストで自社内研修するのが一般的で、共通して使えるテキストがなかった。特に、ベンチャー企業などでは、テキストもなく、独学で化粧品を開発している人が多かった。そこで、メーカーに偏らない、中立の立場で事実だけを伝えるテキストを作ろうと、皮膚科医、メーカーの研究員、化粧品の歴史研究家など幅広い人材の協力を得て「コスメの教科書」を完成させた。

 

 だが、出版してもらおうと企画書を書いて出版社に持ち込んでも、無名の検定のために本を出してくれるところはなく、ほとんどの出版社に断られてしまった。それでも諦めず、当時たまたま取材してくれた主婦の友社の編集者に事情を話したところ、「原稿ができているなら100冊買い取りが条件で出版してあげる」という提案をうけ、なんとか出版にこぎつけた。書店に本が並ぶと、伊勢丹ヒューマンソリューションズとイオンの教育担当者から、化粧品担当社員の教育にテキストを使いたいとオファーがすぐにあった。

 

 以降、ついには「一般社団法人日本化粧品検定協会」を立ち上げ、検定試験も始めた。第一回は東京、大阪の2都市のみで開催し1級、2級の検定試験の受験者は合計で500人満たない程度だったが、今や日本全国20都市で試験を行い、受験者延べ数は47万人に及ぶ。

 

 「私にとって、スタートはいつものボランティアの延長でした。なので最初の2.3年は無報酬で、ほとんど寝る暇もないほど働きました。今はスタッフも20名に増えています」

 

 小西さんが、初めて「化粧品の検定試験を作りたい」と話したとき、だれもが「そんことできるわけない」「そんな試験、受ける人がいない」と言ったという。その時、心にあったのは「すべての大事業は、最初は不可能と言われた」という、トーマス・カーライルの言葉だったと言う。

 

「とにかくひとまずやってみる!」これが小西さんから現役長田生へのアドバイスだ。

 

日本化粧品検定HP

https://cosme-ken.org/thirdclass/  

 

 

編集後記

 インタビューをさせていただいた6週間前に、無事に第一子を出産したばかりの小西さん。なんと、陣痛が8分おきになっても、仕事の打ち合わせをされていたそうです!

 これからは、検定試験で資格をとった人たちが、その資格をいかして働ける仕組みづくりにも力を入れていきたいと夢を語ってくださった小西さん。

 バリバリ働くキャリア女性をイメージして取材に伺いましたが、インタビューさせていただいた小西さんは、小学校時代のあだ名、「ぼー」そのままのおっとりとした控えめな女性でした。(2020年2月 取材・文 田中直美 写真;ご本人提供)

 

追記 

 震災時の長田高校でのボランティアについて、小西さんの陸上部の一年先輩である小林正典さんが書かれたSNSの記事を偶然見つけました。ご本人の了解を得て、ここに転記します。

 

「高2だった当時、自宅の被災は軽微だったが、高校に行って認識の甘さを思い知った。

翌週の修学旅行はなくなった。(先生方のご尽力で三年生時に小豆島へ行った)教室は被災者で埋め尽くされていた。電車は止まっていたので、陸上部の仲間たちと、毎日走って学校まで行き、体育館に集められた食料や救援物資を配ってまわった。配水車が来る度の長蛇の列。帰り道には、焼け落ちた長田から新長田の街を歩き回った。久しぶりの学校再開日の不思議な感覚が、昨日のことのようだ。

 初めてのボランティア経験だったが、前向きなものじゃなく、『ただ、やるべきことがあるから』という感覚だった」。

 

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http://nagata-tokyo.jugem.jp/?eid=209

 

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| comments(2)|
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長谷川隆士 (2020/02/24 6:15 PM)
私の孫も大学の工学部で「水の勉強を」していました。
頑張ってください。
藤野 卓而 (2020/02/22 10:03 AM)
無私の心に驚くばかりです。
これからも幾度となく、ステップを上げて
ください。