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「Face To Face」NO.91「物事が起こってから、考え、動く」

 高29回生

 福嶋聡(ふくしまあきら)

 垂水中学

 演劇部、文芸部、弁論部

 京都大学文学部卒 

 ジュンク堂書店

 

  福嶋さんの名前が出た時に、「高校の時、尊敬していました」と語る声を別の場所で二人の方から聞いた。一時は演劇の道も考えたが、気が付いたら書店に勤め、様々なユニークな企画で注目を集める書店長となっていた福嶋さん。「書店人のしごと」を皮切りに単著も7冊に及ぶ。そんな福嶋さんにお話を伺ってきました。

 

―長田時代ー

 長田時代、演劇部だった福嶋さんは「第四の男」というオリジナル脚本を自作主演。市と県の最優秀賞をとった。

 

「『第四の男』というのは、麻雀をやるための四人目の仲間を呼んでくる学生たちの物語。なんで麻雀かというと、当時、休み時間に流行っていた紙麻雀を、本物のパイでやりたかったから。『演劇に使う』という理由で学校に持ち込むため(笑)」

 

 一つのテーマは、普段、自分たちが使っているそのままの言葉で芝居をするということ。脚本を読んだ部員たちからは最初「俺ら、こんな言葉使ってへん」とクレームがついたが、普段の会話をこっそりテープレコーダーに録音して聞かせたら、「ほんまや!」と納得(笑)

 第二のテーマは自殺だった。一年上の長田の先輩が自殺で亡くなった。「受験苦」という紋切り型で一面的な新聞記事を読んで、「ぼくらの生活は、それだけやない!」と、なにかもやもやとした感情が湧くが、それをうまくは表現できない。それを芝居にしたかった。

 

 前半はコメディ仕立て。そして後半で第二のテーマを扱った。

 

「尊敬している」と話してくれた男性は、この時、文化祭で観た演劇に感動した自分を鮮明に覚えているそうだ。

 

 文化祭実行委員長をした時の、お祭り広場のラストで、集まってきた皆が誰に指示されることなく自然と歌声を合わせていった時の高揚感。国鉄ストの時に、垂水から長田まで自転車で通学しようと走っていた福嶋さんの横を、須磨あたりで、走って追い抜いて、しかも最後まで自転車で追い越せない長田生がいたこと。なまいきな学生だった福嶋さんを『お前は一流にはなれない』と看破した担任の先生に、実際そうだなと納得して「超二流をめざします!」と答えたこと。

 

 そんなあれこれが長田時代の思い出だ。

 

―京都大学時代ー

 京都大学文学部哲学科に進学した福嶋さん。

 

「世の中にはすごいやつがおる!と思いましたね。毎日毎日120円のカレーを食べながら、ずっとギリシャ語の原文をスラスラ訳していくやつとかね。学者になるのはこういう人に任せよう。すごいやつがおると分かっただけでもめっけもん。そう思いました」

 

 馬に乗れたら、映画に出られるかも。そう考えて馬術部に入部した福嶋さんは、思惑通り?黒沢監督の「影武者」に、騎馬武者のエキストラとして参加する。

 

 「この時、『危険手あて』」など待遇の問題で、エキストラの集団が雇用者サイドと交渉することになりましてね。そうするとエキストラ集団を束ねるリーダーが自然と生まれます。最初は役者志望の人。次がとてもソフトな東大の院生。でも、この二人は途中でキレて降りてしまった。そして最後がガソリンスタンドに勤めていた大人。彼が最後までリーダーを務めあげました」

 

 「『みんなのために一生懸命頑張っているのに、どうしてみんなはついてこないんだ?』と、最初に辞めた二人はキレたのです。僕はそこで学びました。『リーダーとは、リーダーの立場にいることに満足・感謝して、みんなが自分の思い通りについてくることを期待してはいけない。みんなの世話をするが、それに対する見返りを求めてはいけない』とね。この時のこの実体験は、後年、とても役立ちました」

 

―書店員になるー

 もう少し学生でいたいと大学院の試験を受けたものの失敗。聴講生として大学生活を継続しながら、高2の頃から関わり始めた「劇団神戸」で、演劇活動を続けていた。そんな時、劇団の常連客で、ジュンク堂書店の社長に紹介して下さる人がいて、思いもよらぬ就職。

 

「飽きっぽい自分にとって、書店ほど面白い職場はないのではないか?嫌だったらいつでも辞めればいい。そんな軽い気持ちで働きだしました」

 

 「働きだして、何より良かったのは『劇団神戸』の公演チケットを買っていただける知り合いがうんと増えたことでしたね(笑)」

 

 京都支店に転勤になったのをきっかけに退団した。本屋の仕事の方が楽しくなったのだ。書店に来るお客様を観察していることが興味深く、その行動を見ながら、いろんなことを考えた。いろいろな本の著者にお会いできることも楽しかった。32歳の時に、最初の自著「書店人のしごと」を上梓。97年には仙台へ。99年には池袋の副店長に。2007年に関西(大阪本店店長)に戻り、2009年に新規オープンした難波店の店長に就任して今日に至る。その間、数々の工夫をこらしたフェアやイベントで本好きを惹きつけ、その活動は新聞でも紹介された。

 

 アマゾンで本を購入することと書店で購入することの違いは?と質問してみた。

 

「人間は、実は自分の欲望の一割しか言語化できていないと言われています。これはつまり、キーワードの検索では、決して自分の世界は広がっていかないということなのです。ネット社会は無限の広がりを持っているようなイメージがありますが、実は自分の興味のある世界にとどまっている。ある意味ビオトープ化するのです」

 

2018年 新聞研究に寄稿された福嶋さんの記事より抜粋。

「意見を持つためには事実や他者の意見を知らなければいけない。対話を成立させるためにも訓練が必要だ。その双方に資するのが、本である。―中略― そうした本たちが、さまざまな事実を携え、多様な意見を表明しながら集まる書店という場を、民主主義そのものの発現の場という意味で、ぼくは「言論の闘技場(アリーナ)」と呼ぶのである」

 

「本屋に行かないのは損だと思いますよ。本が並んでいるところに出向いて、ぜひ自分の世界を広げてほしい」福嶋さんから現役長田生へのメッセージだ。(2019年11月 取材・文・写真 田中直美)

 

編集後記

三宮センタービルの老舗のジャズ喫茶でインタビューさせていただきました。お店は、「今は、もう神戸のことはよく分からなくて」と、福嶋さんが、神戸が分かる福嶋さんの友人に頼んで選んでいただいたのですが、福嶋さんをインタビューするのにぴったりのイメージのお店でした!

「どんな本を読むか」。これは人生の大きなテーマの一つだと、改めて再認識したインタビューでした。

 

 

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| comments(2)|
田中直美 (2019/11/22 9:52 AM)
maedaさま
私もそう思います。音楽のサブスク、少し試してみましたが、やめました。なんだか、どの曲も少しだけ聴いて、次にいってしまう自分がいやで。
どこかで偶然に耳にしたり、映画の中でどうしももう一度聴きたいと思った曲、そんんあ曲をこつこつ集めてます。
maeda teppei (2019/11/20 1:17 PM)
「キーワードの検索では、決して自分の世界は広がっていかないということなのです。」という点、すごく納得しました。私は、音楽や映画でサブスクを利用してみたのですが、新らしいものに出会う機会が激減したと思って、やめました。目当ての物にいきつくまでに、興味がないものの前をとおって、それに目を向けるということは、実は、とても大切なことなんだなと思いました。









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