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Face To Face No.71「次の世に花開くものを見極める」

 高28回生 伊藤裕二

 垂水中学卒

 一年生までバドミントン部

 慶応大学法学部中退

 フォーラムエイト代表取締役社長

  

 

 

 フォーラムエイトは、構造物設計など、主に土木・建築設計を支援するソフトウエア販売会社だが、現在はバーチャルリアリティーなど、独創的な汎用ソフトの開発にも力を入れている。伊藤さんは2003年に第二代社長として就任。この14年間で売り上げを10億から33億に伸ばした。そこへ至る道のりと未来への展望をお聞きしました。

 

―助走期間ー

 端的に表現すれば「本好きのワル」な少年時代だった。小一と中一の時の担任の先生は、そんな伊藤さんを叱るだけではなく認め伸ばしてくれた。今もそのことに感謝し、いつかお会いしてご恩返しをしたいと思っている。

 

 家業は「船のエンジニア」。船のエンジニアとはいっても、船のエンジン等本体のメンテナンスではない。船は接岸するとクレーンで荷下ろしが始まるが、荷下ろしの荷役は100人ほどもおり、万が一、クレーンに不具合が起きて作業が停滞すると大損害が発生する。そのため、エンジニアは船のそばで作業を全て見守り、電気系・機械系のトラブルに対応する。

Watch」と呼ばれる仕事だ。日本全国の港へ、父は請われれば何処へでも赴いた。

 

 伊藤さんは、中学生の頃から父の助手として時に家業を手伝い、高校生の頃には、ちょっとした稼ぎになるほどになっていた。

 

 慶応大学法学部に進学した伊藤さんは、東京でアルバイトで生活費を稼ぎながら本漬けの生活を送るようになる。一冊50円ほどで買える古本を山のように買いこんでは、引きこもりのように本を読み続けた。だが、3年生の初めに大学を中退し、神戸に帰ってしまった。

 

 「東京で安い賃金でアルバイトして自分の生活を立てるのに疲れてしまったんですね。親父の仕事を手伝えば、月の半分も働けば自分の食い扶持ぐらいはなんとかなる。そう考えてしまいました」

 

 だが、そうは言ってもそれでは将来の展望はないと、サラリーマンとして働こうと思い直したのが22歳だった。

 

 「これからはコンピューターの時代だ。今、まさに旬の学問で、今から努力して勉強しても十分に追いつける」。そう考えて最初に就職した会社は2年で倒産してしまったが、次に入社したのが今のフォーラムエイトの前身となる会社だった。入社してすぐに第二種情報処理試験に一発合格。コンピュータープログラミングの分野に興味を持ち、更にプログラミングをやってみようと決意する。

 

―二度のターニングポイントー

 そんな伊藤さんが「人生の第一のターニングポイント」と言うのが結婚だ。社内恋愛・社内結婚・そしてすぐに長男の誕生と、今までの生活が一変した。守らなければならない家族が出来たことで、仕事へのモチベーションが否応なく上がったと言う。当時は給料も安く貯金もない。顧客から希望のあったソフトウエアを受託・プログラミングし、一件100万円位を2件こなして、それで結婚式と新婚旅行の費用を捻出した。

 

 「本当は、当時も副業は原則禁止だったんですが」。やっぱり当時も少しワルだったようだ(笑)

 

 第二のターニングポイントは、大阪支社の立ち上げ・経営を任されたことだった。大阪支社立ち上げは他の人に決まりかけていたが、たまたま社長がその話を持って来たときに担当者が留守だった。東京出身者は、実は大阪に行きたくない。自分は神戸出身で大阪に戻りたい。さっと手を上げ決まった。

 

 「私は当時、独立も少し頭にありました。しかし、売れそうなアイデアはあるが資金がない。大阪で事業立ち上げ、社内で『起業家』のように活動できたことが私の人生の第二のターニングポイントとなりました」。大学中退で会計の知識が全くなかった伊藤さんは、放送大学で「会計学概論」を学んだ。

 

 大阪に営業拠点を立ち上げ、更に福岡、札幌と国内展開していくなかで、いつしか大阪支社の売り上げは東京本社を超すほどに成長する。創業社長の引退にともない、代表取締役社長に就任したのは46歳の時だった。大阪時代の部下を7人連れて東京に戻る。以降、業績を三倍に伸ばしたのは冒頭で述べた通りだ。伊藤さんが入社時は16人だった社員も現在ではグループ全体で240名になる。

 

―これからー

 昨年、還暦を迎えた伊藤さんだが、まだまだ10年はしっかり活躍したいと思っている。

フォーラムエイトの強みは全てのソフトウエアが自社で開発されていること。「ブラック」なイメージの強いIT業界だが、フォーラムエイトは「ホワイト500」というホワイト企業の認定も受けた。健康スポーツ有給休暇や禁煙手当などの施策もスタートしている。

 

伊藤さんは一般社団法人コンピューターソフトウエア協会のスタートアップ運営委員会の委員も務める。

 

 「私は、結局、独立起業することはありませんでしたが、若い人たちの起業は応援したい。世界を変える革新的なソフトウエアを生み出すベンチャー企業を育成し、成功に導く支援事業です。資金面での援助と先輩としてメンターの役割を果たします。諸行無常盛者必衰。委員を務めるIT企業の社長の面々も、皆、大きな成功と失敗を経験しています」

 

 「私は高校時代に、友人と深く人生を語ったり考えたりすることはせず、楽しく遊んで時間を過ごしました。今振り返ると、それはちょっともったいなかったな、遠回りしてしまったなと思っています。現役生の皆さんには、ぜひ高校時代に深く思索してほしい。そう思いますね」

 

新婚当時は、10円の豆腐や、一パック10円の卵を見つけてきては、乏しい家計をやりくりしてくれた妻。息子二人も独立した今は、二人で旅行したり観劇したり、レストランでおいしいお酒と食事を楽しむ時間が至福の時だそうだ。

 

 

フォーラムエイトに展示されている電車運転のシュミレーター

フォーラムエイトHP http://www.forum8.co.jp/

 

20183月 取材・写真・記事 田中直美)

 

編集後記

フォーラムエイトにあるバーチャルリアリティーのジェットコースターを体験させていただきました。前後左右に動く椅子に座りヘッドギアのようなグラスを装着してスタート。ジェットコースターが苦手で、もう一生ジェットコースターに乗ることはないと思っていた私ですが、バーチャルなのでチャレンジ!バーチャルと分かっていても怖かった〜。途中で「もう降ります〜」と叫びました(笑)

 

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| comments(2)|
田中 直美 (2018/03/23 11:23 AM)
藤野さま

いつもご愛読いただきありがとうございます。同期生としても誇らしく思いました!
藤野 卓而 (2018/03/22 5:59 PM)
立志伝中の人です。
エネルギー溢れる姿に感動です。









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