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「Face To Face」NO.59 「うまくいかないからこそ面白い」

 高61回生 中野 瞳

 

 飛松中学卒

 陸上競技部

 筑波大学体育専門学群

 筑波大学人間総合科学研究科

 

 

大ジャンプー

 20076月、県インターハイの走り幅跳びで6m44cmの大ジャンプを跳び、日本ジュニア記録(20歳までの日本記録) 、日本高校新記録を出したのは、中野瞳さんが長田高校2年生の時だった。

 

 「直前の練習で踏切のコツを掴んでいました。でも実はあの一本は、助走の出だしでつまづいてしまい、自分の中では失敗だったのです。それで走り抜けようと思っていたのですが、まあいいやと踏み切ってみたら、思いがけない大ジャンプになったのです。私は助走時に考え過ぎる癖があるのですが、無心になって、体にしみ込んだ技術を自然に出し切れたのが良かったのでしょう」

 

 新記録達成の当日はもちろん嬉しかった。だが、翌日からは、挑戦者だった自分から、守りに入っている自分を感じたと言う。

 

―潰瘍性大腸炎―

 大記録を出した翌年、高校2年の冬から、実は体調の変化はあった。だが、だれにも心配をかけたくないと一人でがんばっていた中野さんは、高校3年の6月に入院してしまう。潰瘍性大腸炎だった。すでに4月からインターハイの予選が始まっており、だましだまし練習を続けていたが限界に達してしまったのだ。

 

入院は3週間に及び、体重は15kgも減ってしまった。退院しても、跳ぶどころか歩くことさえままならない。少女の頃には野球をしていた中野さん。ついついがんばりすぎて足をぱんぱんに腫らしてしまっていた。そんな中野さんの足を、いつもマッサージしてくれていたのがお母さんだった。陸上を始めてからも足のマッサージを続けてくれていた母。15キロも痩せて、みるみる筋肉が落ちていく足もマッサージしてくれた母。ベッドの上で横たわっていた中野さんは気づいていなかったが、母の目は涙で一杯だった。ずいぶん後になってから知った。

 

「でも、あの時、病気になって良かったと思います」と中野さんは控えめな笑顔で語る。

「ご飯が食べられること、スポーツができること。今まで当たり前だと思っていたことが、どんなに幸せなことかと気づけたのですから」

 

スポーツでの推薦は厳しくなったため、筑波大学のAO入試にチャレンジすることにした。

 

「ベッドの上でも、パソコンを持ち込んで、テスト科目である小論文の作成に力をいれることができました。入院中は自分と向き合える時間がたっぷりとあります。そういう時間が持てたことに感謝しています」

 

筑波大学に進学した中野さんだが、潰瘍性大腸炎は難病指定も受けている病気で完治することは難しい。うまくコントロールしていかなくてはいけない。

 

34月に再発することが多く、冬の間にトレーニングで鍛えた体力が落ちてしまいます。落ち込みそうになっていた時に、私と同じ病を抱えた水泳選手の上田春佳さんが、ロンドンオリンピックに出場したことを知りました。同じ病気でもやればできるんだ!と勇気づけられました」

 

筑波大学の大学院に進学した中野さんは、競技選手、特に女子選手の体重コントロールなどを中心にコーチングの研究に励む。卒業後は「原点に帰ろう」と決心して、地元神戸に戻り、兵庫県教育委員会の嘱託職員として働き始めた。

 

―転機―

自分でも原因は分からない。でも、なんだか心がモヤモヤする。神戸に帰った中野さんは、そんな自分に困惑していた。そんな時にお母さんが「モヤモヤしたまま競技を続けているのを見ているのは辛い。自分でやりたいことをやりなさい」と声をかけてくれた。

 

中野さんは、その時に自分の心が見えた。本当は世界に向けて、環境の整った筑波でがんばりたい。でも、自分で決めて神戸に戻ったばかり。職場の人に迷惑をかけるわけにもいけない。無意識のうちに、自分の心に蓋をしていたのだった。

 

「おそるおそる職場の上司に話をしたところ、『挑戦しなさい』と後押しして下さったのです。本当にありがたかったです」

 

―支えてくれる人―

今、筑波に戻った中野さんの目標は東京オリンピック出場だ。

 

「幸いにして私を支えてくださるスポンサーさんたちが、いろいろな形でサポートしてくださっています。食品メーカーからは栄養補助食品の提供や栄養士さん、フィットネスクラブからはパーソナルトレーナー。入浴剤、オーダーメイドのインソールの提供。デザイナーの方がグッズをデザインしてくださったりもしています」

 

入り込むとオーバートレーニングになりがちだった中野さん。疲労を溜めないように自分の体の声を聴くようになった。高校時代・大学時代は心配をかけたくなくて、母にはなかなか相談できなかった。それが反対に心配をかけてしまっていたことに気付いた中野さん。今は一番の相談相手は母だ。

 

東京オリンピックのピットに立ち最高の跳躍をする姿を、お世話になった方々に見ていただきたい!その夢を叶えるために筑波でトレーニングの日々を送っている。

 

「私は長田高校に育ててもらったと思っています。その恩返しもしたい。長田高校での仲間も素敵な人ばかり。誰もが個性的で、そして、互いにその個性を認め合っている。様々な分野で、皆が目標を持ってがんばっている。本当に良い影響をもらいました」

 

少しでも恩返しをしたいからと、長田高校創立100周年記念の運営スタッフにも手をあげた中野さんだ。

 

「競技や研究、人生において、うまくいくと信じて取り組んでも、うまくいかないことが多いと感じています。しかし、だからこそ面白く、そこに魅力があると感じています。失敗を生かすかも殺すも自分次第。失敗を失敗に終わらせず、そこから学ぶことで成長し、その後の大きな成果につながると信じています」

 

2016年2月 初めて一人で海外遠征に行く

  

2016年9月の全日本実業団(@長居陸上競技場)で優勝

 

 

 

編集後記

どんな時も感謝の気持ちを忘れず、置かれた状況の中で「良かった」と思えることを自然に探している中野さん。記者には眩しいような姿でした。「いつも心に太陽を」。中野さんを見ていると、なぜか自然とこの言葉が心に浮かんできた私です。

 

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| comments(2)|
田中直美 (2017/03/29 9:45 AM)
藤野さん
いつもコメントをありがとうございます。
瞳ちゃん、皆が応援したくなる頑張り屋さんです!
藤野 卓而 (2017/03/26 6:38 PM)
2020年を良い節目の年にしてください。









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