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「Face To Face」NO.58「美しいものが好き」

 高17回生 中野正好 

 歌敷山中学卒

 美術部、生物部

 

 武蔵野美術短期大学

 牛山美容文化学園

 カネボウ化粧品美容研究所

―キャッツー

 おそらく、ほとんどの人が知っている劇団四季のミュージカル「キャッツ」。役者たちが身も心も猫に変身するあの独特のメイク。それをファンデーションの開発から全て関わり、役者さんたちが自分でメイクできるところまで指導したのが中野さんだ。

 

―変貌ー

 神戸にいた頃の中野さんは、通知表に「おとなしすぎる。恥ずかしがり屋である」と先生にいつも記入されるような少年だった。「勉強は得意でなかったけれど、音楽と絵は本当に好きで得意だった。だからこのどちらかで身を立てようと思っていました」

 

 長田で理数系のCコースに進んだ中野さんだが、選択科目で美術を選んでいる生徒はなんと3人しかいなかった。その美術の授業での川端先生の「絵は、画家になるだけが道ではない。意外とつぶしがきくんだよ」とのアドバイスがきっかけで、音楽ではなく美術の道に進もうと決心する。

 

 東京の武蔵野美術短期大学に進学した中野さんが最初にしたこと。それは日本橋の高島屋に行って、真っ赤なセーターを買うことだった。

 

 「真っ赤なセーターを着る。指輪をジャラジャラはめる。大きなイヤリングも付ける。神戸での自分とは全く違う人間になりました」

 

当時の新宿はアングラ文化全盛の時代。まだ『丸山明弘』だった頃の美輪明宏が演じた『毛皮のマリー』を観た中野さんは演劇にも魅了され劇場に通った。

 

だが、そんな中野さんが美術学校で何よりも魅了されたのは、デッサンで描き続けた人間のヌード。「一番美しいのは人間だ。その人間を美しくするメイクを学びたい」。中野さんは牛山美容文化学園に入学することを親にも相談せずに決めた。

 

「東京では真っ赤なセーター、指輪ジャラジャラだった僕も、神戸に帰省するときは、全て外しておとなしい僕になっていましたから、親もさぞかしびっくりしたことでしょう」

 

―中野さんの仕事WAY

美容学校一年、インターン一年の期間を経て、理事長・校長の推薦を得てカネボウに就職した。試験時期の関係で、卒業から就職まで半年ほどのモラトリアム期間があったが、その時に、たまたま友人に誘われて土方巽の劇団でアルバイトをする。

 

「観ることが大好きだった演劇を、演ずる側の視点から見せてもらった。この時の経験が後々の僕につながっていきます」

 

カネボウでは入社直後から、毎朝自分の顔にメイクしてから出社した。

「何事も自分でやってみなくては分かりません。どれぐらいで化粧崩れするのか、テクスチュアーはどうなのか、メイクの理論ももちろん勉強しましたが、『実感』を大切にしました」

 

周囲の人たちは「男のくせに」とびっくりしたが、上司は評価してくれた。

 

81年、82年の2年をかけて、世界の美容業界で最も高い権威をもつCIDESCOで、新しいメイク理論が認定され、「国際シデスコ大賞」を受賞。「おそらく、今でも日本からは僕一人のはずです」

 

カネボウのメイク研究所所長とカネボウメイクスクールの校長を兼任。カネボウメイクスクールには、大手他社メーカーからも多数勉強に来ていた。「門戸を開いて、ついでに優秀な人材はヘッドハンティングしていました(笑)」

 

「そしてありがたいことには、カネボウのトップは僕が個人として外の仕事・・主に劇団ですが・・をすることを奨励してくれた。『外で通用しなくてはだめですよ』とまで言ってくれました」

 

60才で定年を迎えた時、どうしても残留してほしいと請われた中野さんは、夕方から夜にかけてだけ働き、他の時間は自由でいられるカネボウ美容研究所の顧問という立場であればと条件を出したが、「なんと給料が跳ね上がりました」とのこと。

 

メイクの神髄はなんですか?と質問してみた。

「欠点をカバーするためのメイクではなく、美点を強調するメイクが基本です。でも強調するというのと化粧を濃くするというのはまた違う。つくるところは徹底的につくりこむが、手を入れなくても美しいところにはあまり手をいれない。極言すれば、きわめつけの美人はノーメイクが一番美しい」だそうだ。

 

 中野さんのメイク作品の一つ

 ライトを当てると発色する特殊な化粧品で

 男女二人のボディメイクをしている。
 

 

―自由に美にのめり込む今ー

 現在70歳の中野さんだが、一日が24時間ではとても足りないほど忙しい。今も日本全国の美容学校に講師として招かれ、舞台やオペラでのメイクも指導する。熱心な生徒は中野さんの自宅にまで勉強にくるがその面倒もみる。「昔から『えこひいきの中野』と呼ばれていましたが(笑)、熱心な生徒は徹底的に面倒をみます。夜遅くまで自宅に生徒が押しかけてきます。でも妻はカネボウ時代の部下だったので、僕の仕事を理解し好きにやらせてくれました。感謝ですね」

 

 更に最近は若かりし頃好きだった陶芸や絵にも回帰し、日展にも入選した。さらにさらに時間のない中野さんだ。仕事を終え帰宅して絵を描き始めるのが夜中の1時、はっと気づくと既に朝の7時になっている。

 

 個展に出品した陶器の照明作品

 雲海に取り囲まれる富士山頂をイメージした絵画
 

 神戸での学生時代、歌敷山中学の窓から見える瀬戸内海と淡路島の美しい姿に心奪われ、長田に通う山陽電車の窓から見える海にいつも感動していた。

 

「美しいものが好き。これが僕の原点です」

 

長田時代に得た親友二人とは、今も一年に1.2回は必ず会う。中野さんが東京の大学に進学した後、「お前、ずいぶん変わったな」と驚かれたが、ずっとずっと親友のこの二人は人生の宝だ。(20172月 取材・写真・文 田中直美)

 

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編集後記

 

 長田OBとしては珍しい職業の中野先輩。でも、お話を伺っていると、一つの物に打ち込む真摯さ、やり抜く根性はやはり長田OBと感じました。私もメイクしていただいて、別の人格になってみたいと思ったことです。インタビューの後も、大きな荷物を持ってすぐに富山へと旅立たれた中野先輩。まだまだ教えを乞う後輩たちが、日本全国で待ち受けています。

 

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| comments(1)|
三國谷 行忠 (2017/02/22 10:31 AM)
とにかく今の御顔が頭髪以外は小生ににソックリさんビックリです。 成績不良も喧嘩は一番で開校以来最低とまで言われた小生が卒業した年に入学だったのですね! なにかにつけて成績至上主義の暗い長田高校から、、良くぞ自己の才能を生かした職業で身をたてられた後輩殿に拍手喝采します。









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