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「Face To Face」NO.50「我が道を行く」

 高18回生 藤本隆

 鷹取中学卒

 硬式テニス部

 大阪大学修士卒
 三菱油化(現三菱化学)
 東京理科大学科学技術交流センター長
 (株)イノフィス 代表取締役社長

―高吸水性ポリマー―
今では誰でも知っている「高吸水性ポリマー」。例の、あの紙おむつに入っているもの。ペット用尿シーツのほか、使い捨てカイロにも、アイスノンにも、漏水防止シールにも・・。目に見えるとこ見えないとこ、あらゆるところで私たちもお世話になっている。
 
アクリル酸という原油ナフサの一成分からこれを創り出し、製造技術を確立し、事業経営を軌道に乗せ、営業も総務も経理も必要なものは必要に応じて全て学び、世に「高吸水性ポリマー」を送り出したのが藤本さんだ。サラリーマン生活の全てをかけた。
 
―睡眠時間ー
「『わが道を行く』これが僕のモットーです。と言えば聞こえはいいけど、要はわがままってことかな?(笑)やりたいことは、周りをはねのけても完遂してきました」
 
「わが道を行く」片鱗は、大学時代の研究テーマ選択時にも発揮された。とにかく人がやっていないことをやりたい!「気体―液体平衡」(気体と液体を行き来する物質の移動についての研究)が研究室の主テーマだったにもかかわらず、教授にお願いし「液体―液体平衡」を自分の研究テーマに選んだ。これが後に、アクリル酸から高吸水性ポリマーを創り出すのに役立つことになる。
 
入社後、配属を決める面接で藤本さんが言ったことは三つ。「製造現場に行かせてください。将来性があるかもしれないが、今は赤字の事業がいいです。そしてだれも行きたがらないところに配属してください」
 
そこで「アクリル酸/アクリル酸エステル」と出会った。強酸で危険。何かとても有用なものが作れそうだが、いったい何ができるかもよく分かっていない。そんな状況だった。
 
高吸水性ポリマーは、土壌保水材として砂漠の緑化に役立てようと、最初は政府の支援下で開発された。だが、いかんせん農業用には単価が高すぎてコストが合わなかった。このすばらしい特性を何かに生かせないか?
 
新しい事業を起こすときには、誰かがリスクをとらなくてはいけない。もともと予算も人員もないのだ。最初は会社に隠れてこっそり開発をした。研究者だった藤本さんがお客さん回り。やがて他メーカーとのつながりができれば「データーをとってあげるから、ちょっとそちらの機械を貸してください」とネットワークを広げる。
 
当時の紙おむつの中身はパルプ。赤ちゃんのお尻にはフワフワなものじゃなくっちゃ!が主流の考え。「こんな薄い物でほんとに漏れないの?」お母さんたちの素朴な疑問もネックとなった。
 
おむつ用にはポリマーのバランスの設計が重要だった。吸水倍率、吸水スピード、吸水の戻り。相反するこの3つの要素をどのように設計するか。
 
その後のこの事業の大成功は説明しなくてもご理解いただけるだろう。市場を国外にも広げ今も拡大し続けている。
 
「あの頃は本当によく働きました。平均睡眠時間は3時間ほど。人間、慣れればやれるもんですね。あまりにも連日遅くなるので、都内のホテルを月契約していたほどです」
 
―メモ用紙ー
 「僕は何もないところに自分でレールをひくのが好きなのです。現場、製造、営業。事業化すれば経理、総務、人事。すべて初めは自分でやりましたが、レールをひいたあとはそれぞれのプロに任せます。高吸水性ポリマーに開発段階から関わり続けたことで、事業の全てのプロセスを知ることができました」
 
 そんな藤本さんは、退社後、請われて東京理科大学の産学連携部門を立ち上げ、センター長を務めたあと、2年前に、「マッスルスーツ」の製造販売会社「イノフィス」設立した。
 
 「マッスルスーツ」とはウエラブル型の「重量物の持ち上げ動作支援ロボット」だ。人工筋肉と空気圧を使い、軽量化を実現した。

 

 記者もマッスルスーツを試着してみた。

 自他ともに認める?非力者ですが、ペットボトル6本入り(12キロ)の箱は、面白いようにすいっと持ち上がりました。

「新しい技術を世に出すときは一にも二にもタイミングが大切です。まず、商品としての完成度。市場のニーズ。そして環境の後押し。マッスルスーツの研究が大学で始まった頃は、大きさも重さもまだ実用的ではなかったのが、ここにきて、やっと実用に即した製品を完成させることができました。高齢化・少子化に伴い需要も増している。そしてロボットを産業育成政策の柱の一つとして押しているアベノミクスも大きな追い風です」
 
「ニーズは全世界にあります。本当の意味での商品とニーズのマッチングはこれからです」
 
「世の中の役に立つ商品を創りたい」。その一念で開発した高吸水性ポリマーだったが、その理念も経験も、この新しい市場に生かすことができる。68歳の今も、健康で好きな仕事に打ち込み、充実した日々を送れることに感謝する昨今だ。
 
「自己利益のためでも会社の利益のためでもない、誰かを助け誰かの役にたつものを開発・販売したい」。若いころから変わらないこの目標を、新しい分野で達成するために、藤本さんは今もメモ用紙を常に手放さない。夜寝るときも枕元に置いて寝る。「課題を考えて考えて考え抜くことが大切です。すると、とんでもない時に何かを思いつきますからね」と、メモ用紙を一枚、背広のポケットから出して見せてくださった。
 
「我慢強く、信じたことは最後までやりぬく」と自己分析している藤本さんだ。
(2016年6月 取材・写真・文 田中直美)


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