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 38回生 大志万容子(おおしまんようこ)
 竜が台中学卒業
 物理部 天文班
 

 大阪大学文学部卒

 常陽新聞 記者






 

―「人見知り」が新聞記者に―
 長田時代は、周りの友人たちのレベルの高さに驚き、少し精神的にひきこもっていたかも、と思う。一浪して大学に進学。大学院をめざしたのは、学者になりたかったからだ。大学院の入試に失敗して新聞社に入社。内勤を経て社会部記者になったことが最初の転機になった。

 

 「私は好奇心が旺盛で、人が何を考えているかということに興味がありました。でも、内向的で人見知り。だからこそ学者をめざしていたのですが、取材をしてみたらはまりました。自分の知りたいことを直接聞ける。今、動きつつある物事の最前線のこと、表にでないこと(出せないこと)、建前ではない現在進行形の生の情報に接することができる。エキサイティングでした」
 

 結婚してつくばに移り住んだ後も、地元紙の常陽新聞で記者として働いた。出産を契機に退職したが、その後もフリー契約で連載などを担当。そんな大志万さんに第二の転機が訪れた。
 

―「ままとーん♪」ー
 大志万さんが暮らした研究学園都市「つくば」は、いわずと知れた研究者の街だ。だがそこは、若い母親たちが子育てするには、ある意味大変な街だった。「日本全国から転勤で集まってきた母親たち。だれもが土地勘も地縁もない核家族です。今のようにインターネットもない時代で、どのように情報を集めたらよいのかも分からない。孤独な子育てでした」。

 

 そのような状況下、つくばで創刊されたのが、子育てママのための情報誌「ままとーん♪」だった。初代編集長は授乳服メーカー「モーハウス」の女性社長・光畑さん。「当時のつくばには『元ワーキングガール』のエネルギーとスキルが溢れていました。自分の能力を、誰かの役に立てたいと望んでいるママたちが大勢いたのです」。
 

 産院特集。幼稚園特集。子ども連れのお出かけ特集。自分たちの知りたい情報を自分たちの手で集める。何百人ものお母さんにアンケートをとり、生き生きとした体験談が数多く寄せられた。
 

 大志万さんも記者として「ままとーん♪」の編集に参加。よちよち歩きの息子を連れて取材した。平成13年から3年間は、編集長も務めた。
 

「私は、元来どちらかというと一人で斜に構えているタイプでしたが、編集長の経験から『チームで仕事をする』ことの面白さにめざめました。自分が直接取材に行くのではなく、そのテーマに興味の有りそうなメンバーに依頼して書いてもらう。そうすると、自分の予想以上の内容が返ってくる」。
 

 営業もママたちが本屋さんを自ら回る。 一冊890円の「ままとーん♪」が毎号数千部売れた。
 

「『自分たちのほしいものは、みんなも欲しい』。そういう視点で企画、取材したものが支持され、社会的に認められました。『大きな組織に属さなくても物事を良い方向に動かしていけるんだ』という自信にもつながりましたね」 


 

―変化した視点―
 その後、子育て支援のNPO法人となった「ままとーん」で10年近く活動し、その後は友人らと地元の教育情報をテーマにした雑誌を創刊し、編集に携わる一方で、放送大学や筑波大学で心理学・教育心理学を学んでいた大志万さんだったが、実母の看病・看取りをきっかけに体調を崩したことで数年の休養を余儀なくされた。

 

 昨年の7月には、実父をつくばで看取った。壮年時代には、地元神戸で仕事にうちこみ輝いていた父が、晩年は認知症のために暴力をふるい、そのために施設や病院を転々としなければならなかった。慣れ親しんだ神戸からつくばに連れてきたが、本当にそれが良かったのだろうかと自問自答することが今もある。
 

 昨年、常陽新聞の記者に復帰した大志万さんは、現在、地域の話題、人、団体紹介などを担当している。
 

 「思春期を迎えた息子たちの反抗期。両親の看取り。また自分自身の病。それらの経験を通じて、いつしか私の取材のスタンスが変わってきたように思います。若い頃は白黒をはっきりつけたい自分がいました。でも今は、事実は事実として認識しつつも、その事実に至るそれぞれの事情に思いを馳せ、正義感だけでものごとを考えることがなくなりました」 
 

 「ごく普通に見える人でも、人生に大きなドラマがある。喜びがある一方、試練や挫折、悲しみもある。それらを乗り越え、日々の暮らしを丁寧に営んでいる人の姿が美しいと感動します。人が生きていること自体が小さな奇跡のように思えます」
 

 実父を見送ったことで、自身の後半生を意識するようになったと言う大志万さん。このまま地域密着で記事を書き続け、次世代や地域のために何か役立つようなことをしていきたいと考えている。(取材・文・写真 田中直美2015年3月)


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